ミラドライは、ワキ汗による悩み(ワキ汗・ワキガ)を改善する治療機器です。ミラドライは、マイクロ波を用いて汗腺(エクリン汗腺・アポクリン汗腺)の存在する部分を熱により焼灼・凝固させます。
ミラドライを使用することでワキ汗・ワキガの治療が可能です。
ミラドライとは
ミラドライは、ワキ汗による悩み(ワキ汗・ワキガ)を改善する治療機器です。重度の原発性腋窩多汗症を治療することを目的に、厚生労働省より薬事承認を受けています(FDAでは腋窩多汗症・腋臭症(ワキガ)・減毛の適応で承認取得しています)。
ミラドライは、マイクロ波を用いて汗腺(エクリン汗腺・アポクリン汗腺)の存在する部分を熱により焼灼・凝固させます。 原理的に、ワキ以外の領域にも使用可能です。
【補足情報】
①ミラドライによる治療内容:腋窩多汗症、腋臭症の治療
②通常の治療内容:内服薬・外用薬による治療と手術療法
③ミラドライの治療費用:249,000〜298,000円(税込/自由診療)
④ミラドライの治療期間及び回数:1回
⑤主なリスクや副作用:治療部位の腫れ・痛み・色素沈着
皮膚の構造
ヒトの皮膚は浅い層から表皮・真皮・皮下組織があります。汗をつくって皮膚の表面へ送り出す汗腺は、皮膚の表面から約1~3㎜の真皮から皮下組織にかけて存在しています。
汗腺には、「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があります。

【エクリン汗腺】
全身に分布している。主に体温調節のために汗を出す。サラサラとした、臭いを伴わない汗が特徴。
【アポクリン汗腺】
ワキ、乳首、下腹部、耳など限られた場所に分布している。毛根に汗腺の開口部がある。臭いのもととなる脂質やたんぱく質を含み、皮膚表面の常在菌によって分解され、独特な臭いの原因となる。
ワキ汗・ワキガの原因となる汗腺
ワキの下に多量の汗をかくワキ汗は、主にエクリン汗腺から分泌される汗が原因です。ワキの下から特異な悪臭を放つワキガは、主にアポクリン汗腺から分泌される汗が原因です。
どちらの汗腺から出る汗も、汗自体は無臭です。しかし、アポクリン汗腺由来の汗は皮脂やたんぱく質を多く含むため、これが皮膚の常在菌によって分解されて特有な臭いが発生します。
ミラドライの原理
電子レンジと同様のマイクロ波を用いて、汗腺を焼灼・凝固させる装置です。マイクロ波は、物体に含まれる水分子を振動させることで熱を発生させます。この原理を利用して、皮膚内で水分子を多く含む汗腺に熱を発生させることで、汗腺が存在する領域を焼灼・凝固し汗腺を破壊します。
ミラドライのバイオチップを皮膚にあてると、まず掃除機のように皮膚を吸い込みます。同時に皮膚表面の冷却が開始となり、その後マイクロ波が照射されます。
脂肪を多く含む皮下組織は、真皮と異なるマイクロ波の伝導性・誘電率を持つため、マイクロ波は皮下組織で反射します。これにより、汗腺が存在する真皮の深い層から皮下組織の浅い層に、60℃~70℃程度の温度の高いヒートゾーンを形成し、汗腺を効率的に焼灼・凝固させることができます。
表皮には吸引痕がつきますが、マイクロ波がでている間も皮膚表面の冷却は継続されるため、表皮や真皮の浅い層にはヤケドが起こることはなく、非侵襲的でありながら、安全で効果的な汗治療が可能になります。
【ミラドライの特徴】
①汗腺が存在する領域一帯を加熱できる。
②汗腺が機能を停止するだけの高い温度で加熱できる。
③冷却により表皮と真皮浅層の熱損傷を防ぐ。
ミラドライの効果
1回のミラドライ治療により、70~80%程度の汗腺の焼灼・凝固が可能と考えられています。皮膚を切開する手術(剪除法・皮弁法・超音波メス剪除法など)では、約90%の汗腺の除去が可能とされています。100%の汗腺を除去するには、皮膚をはぎ取る以外方法はありません。1回のミラドライ治療でも十分な汗の減少・臭いの減少を実感できます。
ワキ汗を対象とした研究では、治療1年後でも81.7%の発汗減少が継続していました。ワキガは、治療直後から被験者の80%で臭いが気にならなくなり、2年後でも89%の方に効果が持続していました。(※研究報告1)
治療効果は半永久的に持続しますが、効果が不十分な場合には、医師と相談の上、6か月以降に計3回の治療が可能です。手術療法と比較して、傷跡も残らず、安静や固定(ダウンタイム)が不要な効果的な汗治療といえます。
※研究報告1
Hong, H. C. H., Lupin, M., & O’Shaughnessy, K. F. Clinical evaluation of a microwave device for treating axillary hyperhidrosis. Dermatologic Surgery , 38(5), 728-735, 2012
ミラドライのメリット
ミラドライの治療効果は半永久的に持続します。
内服薬や塗布薬による治療は保険適応となりますが、継続的な治療が必要なため、どうしてもコストがかかります(塗布薬は約5000円/月かかります)。また、口の渇きや目のかすみ、眠気などの副作用があります。
ボトックス注射は一部保険適応となりますが、効果の持続時間は3~6か月であり、継続的な治療が必要であるため、どうしてもコストがかかります。
手術療法は保険適応となり効果的な治療ではありますが、2~3週間の患部の圧迫・固定、通院・入院が必要となります。
ミラドライは自費治療とはなりますが、1度の治療で高い効果が実感でき、治療効果は半永久的に持続します。長期的にみると経済的です。シャワーの制限もなく、日常生活に支障がでることはほとんどありません。
それぞれの治療の特徴
内服薬 | 外用薬 | ボトックス注射 | イオントレフォーシス | 手術療法 | ミラドライ | |
---|---|---|---|---|---|---|
方法 | 臭化プロバンテリンを食間に内服 | エクロックゲル・ラピフォートワイプ、塩化アルミニウムを塗布 | ボツリヌス毒素を皮内に注射 | 電気治療 | 剪除法・皮弁法・超音波メス剪除法など | マイクロ波照射 |
効果 | 発汗抑制 | 発汗抑制 | 発汗抑制 | 発汗抑制 | 発汗抑制、ワキガ改善 | 発汗抑制、ワキガ改善 |
持続時間 | 内服後2〜3時間 | 1日1回塗布 | 3〜6ヶ月 | 1日〜数日、効果が実感するまで月単位かかる | 半永久 | 半永久 |
副作用 | のどの渇き、めのかすみ、頭痛、眠気 | のどの渇き、めのかすみ、頭痛、眠気、皮膚のかゆみ | 内出血、つっぱり感、しびれ、筋肉痛など | 基本的になし | 痛み、安静や固定が2〜3週間必要 | 腫れ・痛み:1日〜数日、違和感:数日 など |
傷跡 | なし | なし | なし | なし | あり(〜5cm程度) | なし |
治療時間 | ー | ー | 5分〜10分 | 15分〜20分/日 | 1〜2時間程度 | 1〜2時間程度* |
保険適用 | あり | あり | あり(重症の場合) | あり | あり | なし |
※左右にスクロールできます。
ミラドライ治療の実際
汗が出る範囲をチェックします。その後、局所麻酔液を皮下注射します。(神経や筋膜への熱損傷を防ぐため、ツーセメント混合液という麻酔混合液を、皮下組織に十分に注射します)
汗が出る範囲を、テンプレートを用いて皮膚にマーキングします。
ミラドライを照射します。
治療後は、アイスパックで治療部位を冷却します。
※治療時間はワキの通常照射は約60分、広範囲照射は約2時間です。
治療経過
ミラドライは皮膚を吸引しながら治療を行うため、皮膚に内出血が起こります。内出血の多くは、治療後数日から1週間以内に改善します。
治療当日はジンジンとした痛みを感じる方が多いですが、翌日には痛みを訴えない方がほとんどです。痛みが強い場合には、局所をアイスパックで冷却し、あらかじめ処方された鎮痛剤を内服します。
ワキに対する治療後は、注入した局所麻酔薬による影響でワキにボールがはさまっているような違和感があります。個人差はありますが、1週間程度で違和感はなくなります。
薬液による生体への影響はありません。
治療日よりシャワー浴が可能です。勤務や日常生活の制限は特にありません。
治療ができない方
・心臓ペースメーカや他の電子機器が体内に埋め込まれている方
・腋窩付近に金属製のインプラント等が埋め込まれている、又は刺青のある方
・治療部位に悪性腫瘍、又は皮膚悪性腫瘍がある方
治療に注意を要する方(医師と相談の上、治療の可否を決定します)
・乳がんなどの治療で、腋の下のリンパ節郭清・放射線治療を受けことのある方
・腋窩切開による乳房再建術を受けたことのある方
・腋窩部の外科手術を受けたことのある方
・大豆アレルギーの方
・局所麻酔薬にアレルギーのある方
当院の特徴
ミラドライ公式認定医が治療
当院ではミラドライ公式認定医が、ミラドライ治療を行います。
ミラドライの治療を担当する院長の春田医師、関医師、牛尾医師、北川医師がミラドライ公式認定医を取得しています。

ミラドライ公式認定証_春田医師

ミラドライ公式認定証_関医師
ミラドライ公式認定医とは、ミラドライの開発元であるMiramar Labs社より、認定書を発行された医師のことを指します。
ミラドライ公式認定医になるためには、ミラドライにおける適切な手技と知識を身につける必要があり、さらに一定数のミラドライ治療を行った実績が求められます。
ミラドライ公式認定医が在籍するクリニックで治療を行うことで、患者さんは安心してミラドライ治療を受けることができます。認定医は、効果的な治療法を提供するだけでなく、患者さんの安全を最優先に考慮し、適切なアフターケアも提供します。
広範囲+中央2回照射
ワキ汗に対するミラドライ治療は、通常ワキ毛が生えている領域から1㎝離した領域までが照射範囲に設定されています。しかし、ミラドライ治療を行っても十分に汗が止まらないという方が一定数いらっしゃいます。
ヨードでんぷん反応で発汗部位を調べてみると、施行部分は汗が止まっていても、施行部分の周りの発汗が残っているという方がほとんどでした。
ドーナツ状に汗が残ってしまうことを防ぎ、かつ中央部分の汗腺を十分に焼灼・凝固することを目的に、当院ではオプションで広範囲照射と中央部分の2回照射を行っています。広範囲+中央2回照射では、上腕からワキの下、胸の横側までの発汗量の減少と、臭いの改善を実感できる満足度が非常に高い治療です。
広範囲+中央2回照射は、ミラドライ治療に精通したクリニックでのみ施行可能です。
【当院がミラドライのダブル照射にこだわる理由】
なぜ我々がミラドライのダブル(2回)照射にこだわるのか?