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ミラドライ

ミラドライと似た治療は?高周波・レーザーの効果を医師が解説

「ミラドライより新しい治療はありませんか?」
「高周波やレーザーでもワキガを治療できると聞きました」

このようなご質問をいただくことがあります。

美容医療では次々と新しい機器が登場します。しかし、「新しい機械=より効果が高い」とは限りません。特にワキガ・多汗症治療では、汗腺に熱を加えるさまざまな機器が登場してきました。

当院でも新しい技術には常に注目していますが、治療を選択するうえで重視しているのは、「その治療に、どの程度医学的なエビデンスがあるのか」ということです。

この記事の監修者

ミラドライはマイクロ波で汗腺を熱処理する

ミラドライは5.8GHzのマイクロ波を使用し、汗腺が多く存在する皮膚と皮下脂肪の境界付近に熱を発生させ、エクリン汗腺・アポクリン汗腺を熱処理する治療です。エクリン汗腺を熱処理することで発汗を抑えるだけでなく、ワキガの臭いの原因となるアポクリン汗腺にも作用するため、ワキガ(腋臭)の改善にも効果が期待できます。

ミラドライについては、無作為化比較試験、客観的な発汗量測定、組織学的評価、長期追跡など、複数の研究が行われています。

代表的な研究では「シャム治療」と比較されています。シャム治療とは、見た目や手順は本物の治療と同じように行いながら、実際には治療に必要なエネルギーを照射しない「偽治療」のことです。

「治療を受けたから良くなった気がする」という影響をできるだけ除いて、本当に機器そのものに効果があるのかを評価するために行われます。このシャム対照試験では、治療30日後の有効率はミラドライ群89%、シャム群54%で、有意な差が認められました。

日本人を対象とした研究でも、1回の治療から12か月後に70.8%の患者で発汗量が75%以上減少していました。さらに組織学的にも、エクリン汗腺の大きさや密度が減少していることが確認されています。さらに2026年には海外から3年間の長期追跡結果も報告され、3年後まで回答した患者ではHDSS(多汗症重症度評価)とQOLの改善が維持されていました。

つまり、単に「治療直後に汗が減った」というだけではなく、汗腺そのものの変化や長期的な効果まで検証されていることが、ミラドライの大きな特徴です。

高周波(RF)による治療は?

汗腺を熱処理する方法は、マイクロ波だけではありません。その一つがRF(高周波)です。

日本でも以前、「ビューホット」というマイクロニードルRF機器がワキガ・多汗症治療に使用されていましたが、現在は新規販売されていません。

ビューホットは、多数の細い針を皮膚に刺し、その針からRFを照射して汗腺の存在する層を熱処理する方法です。RFによる多汗症治療そのものには一定の臨床報告があり、汗腺の減少や発汗量の低下を示した研究もあります。

一方で、研究規模は比較的小さく、使用する機器や照射方法も統一されておらず、ミラドライと比較すると長期的なエビデンスはまだ十分とはいえません。また、マイクロニードルRFでは実際に多数の針を皮膚に刺して熱を加えるため、治療後に点状の痂皮や炎症後色素沈着などが生じることがあります。

ワキは普段見えにくい場所とはいえ、ワキガ・多汗症という良性疾患の治療では、「汗や臭いを減らすこと」と同時に、「できるだけ治療痕を残さないこと」も非常に重要だと当院では考えています。

ビューホットについては、長期的な有効性を裏付けるエビデンスが十分に蓄積されていないことに加え、このような皮膚へのダメージや治療痕の可能性も考慮し、当院では導入していません。「サーミドライ」などRFを利用した治療についても、現時点ではミラドライと同程度の臨床データが蓄積されているとは言いにくい状況です。

レーザーによるワキガ治療は?

レーザーを使用したワキガ・多汗症治療もあります。

一部のレーザー治療では、アポクリン汗腺の減少や臭いの改善を示した小規模な研究もあります。ただし、「レーザーで熱を加えれば汗腺を破壊できる」と単純に考えることはできません。

レーザーは波長によって、吸収される対象やエネルギーが到達する深さが異なります。例えば、一般的な脱毛レーザーは、主として毛のメラニンや毛包を標的としています。汗腺を選択的かつ広範囲に、均一に熱処理するために設計された治療ではありません。

実際、脱毛用レーザーによって多汗症の改善を認めなかった研究もあります。つまり、「レーザーで熱を加える=汗腺が十分に破壊される」とは限りません。

重要なのは、汗腺が存在する深さに必要な熱を、十分な範囲に均一に与えられるかということです。そのためレーザーについても、「レーザーだから効く」と考えるのではなく、それぞれの波長・機器・照射方法について臨床データを確認する必要があります。

当院にもあるMorpheus8はどうなのか?

当院でも導入しているMorpheus8(モフィウス8)は、マイクロニードルRFの一種です。

現在当院では主として顔・首・目の下などの治療に使用していますが、実はMorpheus8を腋窩多汗症に応用する臨床試験も行われています。約70例を対象として、実際にRFを照射するMorpheus8治療と、エネルギーを照射しないシャム治療を比較して、有効性や安全性を評価する研究が登録されています。

これは非常に興味深い研究で、当院でも結果に注目しています。しかし、現時点ではミラドライと同程度の効果や長期的な持続性があると判断できるだけのエビデンスはまだありません。

当院にすでにMorpheus8があるからといって、十分なデータがない段階でワキガ・多汗症治療としておすすめすることはしていません。今後、しっかりとした臨床データが示されれば、ワキガ・多汗症治療への応用も検討したいと考えています。

「新しい機械」より「結果を説明できる治療」を

新しい治療が登場すること自体は、とても良いことだと思います。

当院でも、新しいRF治療やレーザー治療、Morpheus8などの研究結果には常に注目しています。ミラドライについても新しい機種の開発・改良には期待しています。

治療効果に関わる加熱時間を維持しながら冷却工程などが効率化され、現在より施術時間を短縮できる新しいシステムが正式に登場すれば、当院でも導入を検討したいと考えています。

しかし、2026年現在、非外科的に汗腺を熱処理する治療の中で、無作為化比較試験、客観的な発汗量測定、組織学的評価、そして長期成績まで複数のエビデンスが蓄積されている治療の一つがミラドライです。

新しい機械が出たからすぐに飛びつくのではなく、

「本当に汗や臭いが減るのか」
「その効果は長く続くのか」
「治療痕などのデメリットはないのか」

を確認することが大切だと考えています。

「新しいから」ではなく、「その効果と安全性を医学的根拠をもって説明できるか」。

当院では、そこを大切にしてワキ汗・ワキガ治療を選択しています。

ミラドライに関する補足情報

・治療内容:重度の腋窩多汗症のミラドライ治療(自由診療) 
・治療期間及び回数:1回 
・治療費用(税込):148,000円〜278,000円 
・主なリスクや副作用:治療部位の腫れ・痛み・色素沈着

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