当院では、ミラドライの治療効果をできるだけ高めたい方に「ダブル照射」をおすすめしています。ダブル照射とは、1回の治療の中で同じワキに2回照射を行う方法です。
ただし、当院では単純にまったく同じ位置を2回照射しているわけではありません。1回目と2回目で照射する方向を変え、「縦方向」と「横方向」の2方向から照射しています。
なぜこのような方法で治療しているのか。その理由の一つが「照射ムラをできるだけ少なくするため」です。
この記事の監修者

医学博士、日本外科学会 外科専門医、日本消化器外科学会 消化器外科専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
北里大学医学部を卒業後、自治医科大学 消化器一般移植外科 講師、四谷メディカルキューブ 外科・内視鏡外科などを経て現職。外科医として、幅広い治療に従事する中で、患者様一人ひとりが抱える身体的な悩みや生活の質に向き合う医療の重要性を実感。「身体的な悩みを解消し、患者様が前向きで豊かな人生を歩んでほしい」という想いのもと、ルキナ新宿四谷クリニックを開院。
シングル照射では、どうしても照射ムラが生じる可能性があります
ミラドライは、ワキ全体を一度に照射する機械ではありません。ハンドピースを皮膚に密着させ、皮膚を吸引してから、決められた位置に1ショットずつ照射していきます。
ワキは平らな場所ではありません。くぼみやシワがあり、皮膚の柔らかさや厚さも場所によって異なります。
そのため、テンプレートに沿って丁寧に照射していても、実際の皮膚上ではショットとショットの境界にわずかな照射ムラが生じる可能性があります。シングル照射の場合、この部分はそのまま残ることになります。
そこで2回目は「横方向」から照射します
当院のダブル照射では、1回目と2回目で照射方向を変えています。
イメージとしては、
- 1回目:縦方向に照射
- 2回目:横方向に照射
- 縦 × 横 = 2方向から照射範囲をカバー
という方法です。

1回目とまったく同じ方向から同じように照射するのではなく、2回目の方向を変えることで、1回目のショット間に生じた照射ムラを2回目でカバーできる可能性があります。
「同じ治療を単純に2回繰り返す」というより、
「異なる方向から2回照射して、できるだけ焼け残りを減らす」
というのが当院のダブル照射の考え方です。
病理組織でもダブル照射の方が多くの汗腺にダメージ
日本から、シングル照射とダブル照射後の汗腺を実際に病理組織で調べた研究が報告されています。
Hatanoらの研究では、治療後のワキを生検し、組織内に存在する汗腺のうち、ミラドライによるダメージを認めた汗腺の割合を調べています。
その結果、
シングル照射:平均73.2%
ダブル照射:平均92.2%
でした。つまり、ダブル照射では組織学的により多くの汗腺にダメージが認められました。
ただし、この研究はシングル照射5人、ダブル照射5人という小規模な研究で、同じ患者さんの左右で比較した研究ではありません。そのため、この数字をそのまま「シングルで73.2%、ダブルで92.2%の汗腺がなくなる」という意味で解釈することはできません。
それでも、実際の病理組織を用いてダブル照射の方が多くの汗腺にダメージを認めたことを示した、興味深い研究だと考えています。
当院では1回目も2回目も「レベル5」
ダブル照射といっても、治療内容はクリニックによって異なります。例えば、2回目だけ照射範囲を狭くしたり、2回目のエネルギーレベルを下げたりする方法もあります。
当院では、1回目・2回目ともにエネルギーレベル5で照射しています。さらに、2回目も治療範囲全体を照射します。
つまり、
「1回目はしっかり照射して、2回目は軽く追加する」
というダブル照射ではありません。2方向からしっかりと治療範囲をカバーすることを基本としています。
テンプレートの外側にも必要に応じて追加照射します
もう一つ、当院が大切にしているのが「照射範囲」です。ミラドライには照射位置を決めるためのテンプレートがあります。
しかし、人によってワキの広さや形、毛の生えている範囲、汗や臭いが気になる範囲は異なります。そのため、当院ではテンプレートの中だけを機械的に照射して終了するのではなく、ワキの状態を確認し、必要に応じてテンプレートの外側にも照射を追加しています。
特に臭いが気になる範囲が広い方では、「どれだけ強く照射するか」だけでなく「どこまで照射するか」も重要だと考えています。
片ワキ80〜110ショット程度になることが多いです
このように、
- 1回目と2回目を縦・横の2方向から照射
- 1回目も2回目もレベル5
- 治療範囲全体をダブル照射
- 必要に応じてテンプレート外にも追加照射
を行うため、当院の広範囲ダブル照射では、片ワキあたり80〜110ショット程度になることが多くなります。両ワキでは160〜220ショット程度です。
もちろんワキの広さや治療範囲によってショット数は異なるため、「ショット数が多ければ多いほど良い」というわけではありません。大切なのは、その方に必要な範囲をできるだけ照射ムラなくカバーすることです。
なぜここまで照射するのか
ミラドライによって熱ダメージを受け、その後失われた汗腺が新しく再生して増えていくわけではありません。一方で、1回の治療ですべての汗腺を完全に処理できるわけでもありません。
治療後に汗や臭いが残る場合、その一因として治療を免れた汗腺が残っていることが考えられます。
だからこそ当院では、
「1回の治療で、できるだけ多くの汗腺を確実に治療する」
ことを大切にしています。
そのために、レベル5でのダブル照射を行い、さらに縦・横の2方向から照射することで照射ムラを減らし、必要な場合にはテンプレート外まで照射範囲を広げています。
治療時間は長くなりますが、痛みやダウンタイムを伴う治療だからこそ、1回の治療効果をできるだけ高めることに意味があると考えています。
参考文献
Hatano T, Fukasawa N, Miyano C, Wiederkehr I, Miyawaki T. Pathological changes in axillary hyperhidrosis and axillary osmidrosis induced by microwave treatment: comparison of single- and double-pass irradiation. Lasers Surg Med. 2021;53(9):1220–1226.
ミラドライに関する補足情報
・治療内容:重度の腋窩多汗症のミラドライ治療(自由診療)
・治療期間及び回数:1回
・治療費用(税込):148,000円〜278,000円
・主なリスクや副作用:治療部位の腫れ・痛み・色素沈着
この記事の監修者

医学博士、日本外科学会 外科専門医、日本消化器外科学会 消化器外科専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
北里大学医学部を卒業後、自治医科大学 消化器一般移植外科 講師、四谷メディカルキューブ 外科・内視鏡外科などを経て現職。外科医として、幅広い治療に従事する中で、患者様一人ひとりが抱える身体的な悩みや生活の質に向き合う医療の重要性を実感。「身体的な悩みを解消し、患者様が前向きで豊かな人生を歩んでほしい」という想いのもと、ルキナ新宿四谷クリニックを開院。